第一回卒業論文作成レジュメ(2002.5.13)

国際学部国際社会学科4年 小島 周一郎

「宇都宮における新交通システムの今後」()

 

1、取りあえずのテーマ設定について

 大学に入学し、宇都宮に4年間住んだ。そして「行政学」に関わる卒論テーマにおいて身近な行政に関するテーマを選びたかった。ただし前期は非常に忙しいので、あまり掘り下げて調べる事は出来ないので、様々なテーマに関心を持つことで自分にあった卒論テーマを見つるための準備期間とし、夏休み以降に本格的に取り掛かりたい。

 

2、新交通システムとは

 従来型の鉄道とバスとの中間の輸送力を持つ、線路などの軌道を走行するタイプの公共交通機関で、メリットとして交通渋滞に影響されずに快適に移動でき、バスよりも大きな輸送力を持つ、環境にも優しい乗り物。

 

新交通システムの種類

AGT(Automated Guideway Transit) ←東京臨海新交通「ゆりかもめ」

高架などの専用軌道を小型軽量のゴムタイヤ付き車両がガイドウエイに沿って走行するシステム。完全自動運行システムによる無人運転が可能。

 

モノレール←千葉市「タウンライナー」

1本の走行路の上にゴムタイヤの車両が跨座(またがる)または懸垂(ぶらさがる)して走行するシステム AGTに比べ、占用空間が少ない。急曲線・急勾配に対応可能。

 

LRT(Light Rail Transit)

専用または分離された軌道に、加速性・快適性などを高めた車両が走行するシステム。従来の路面電車の発展型であり、建設費が安く、乗降が容易。

 

リニア地下鉄

動力にリニアモーターを採用し、小型化された車両を使用する地下鉄 これまでの地下鉄に比べ、建設費が安い。急曲線・急勾配に対応可能。

 

3、新交通システムの必要性

宇都宮市は、自家用車に頼らざるを得ない交通ネットワークとなっていて、道路渋滞の発生や都市環境の悪化の一因となっている。

→これらの問題を解決し、住みよいまちづくりを進めるため、「ひとや環境に優しい」新交通システムの導入が必要。

●ひとと環境にやさしい

●高齢化社会に対応

●にぎわいのあるまちづくりを演出

 

クルマ依存社会の行き詰まり

クルマが増えたため、道路の渋滞が激しくなっています。道路の整備や拡幅などによる通過容量の確保は年々厳しくなっていて、クルマに代わる新しい交通機関が必要。

 

環境問題への対応

良好な都市環境を守っていくことが求められていて、クリーンでエネルギー効率の高い交通機関の導入が課題。

 

高齢化社会への対応

高齢者や障害を持つ人などにやさしく、自由に行動できる交通システムの整備が求められている。

 

中心市街地の活性化

中心市街地は道路混雑や駐車場の不足などにより利便性が低下し、空洞化が進行。公共交通機関の整備とともに、トランジットモールの整備など、にぎわいのあるまちづくりが必要。

 

4、宇都宮市における新交通システム整備状況

栃木県と宇都宮市が共同で、鬼怒川東岸地域とJR宇都宮駅を結ぶ区間を対象に、環境問題や高齢社会に対応した新交通システムの導入に関する調査・検討。

平成11〜12年度には、新交通システム検討委員会において先進導入事例の研究,対象地域の現況把握,交通意識調査の実施,将来需要の分析などの調査・検討。

平成12年度末、今後の調査・検討を進める上での基本的な考え方として、ルート,導入方式,関連施策等に関する「基本方針」を策定。

 平成13〜14年度には、この「基本方針」に基づいて、導入計画及び事業化に関する更に詳細な調査を実施し、『新交通システム導入基本計画』を策定する予定。

 

5、新交通システム導入基本方針とは(原文掲載)

◆導入ルート

○JR宇都宮駅から宇都宮テクノポリスセンター地区の区間の導入ルートについては、沿線人口・施設,将来需要,導入空間,整備費規模等の検討結果から、以下の3ルートを基本として より詳細な調査・検討を進めることが適切である。

A.()宇都宮向田線から柳田大橋、()宇都宮茂木線を経由するルート

-1()宇都宮向田線から東進し、清原工業団地北部を経た後、()宇都宮茂木線を経由するルート

-2()宇都宮向田線から東進し、清原工業団地中央部を経た後、()宇都宮茂木線を経由するルート

導入ルートのイメージ

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◆導入方式

○導入方式については、将来需要,事業費規模,乗降等の利便性,まちづくりとの調和性などの優位性から、LRT(ライト・レール・トランジット,次世代路面電車)を基本として、より詳細な調査・検討を進めることが適切である。

○なお、今後は各種構造,運行システムのほか、高速化・低床化した車両や優先信号システムなど、機能性や快適性を高めるための関連システムについても具体的検討を進める必要がある。

導入方式のイメージ

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◆関連施策

○関係地域から新交通システムへのアクセス性を高め、公共交通ネットワークとしての利便性・効率性の向上,利用の拡大を図るため、バス・アンド・ライド,パーク・アンド・ライド,サイクル・アンド・ライドなどの端末交通システムを十分に機能させる必要がある。

○このため、駅の特性に応じた乗り継ぎ関連施設の設置,周辺道路環境の整備,端末バス網の機能的な配置など、端末交通関連施策を総合的に講じる必要があり、今後は、これらの施策についても調査・検討を進めることが適切である。

関連施策のイメージ

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◆関連道路整備 

○宇都宮市東部地域における交通円滑化を図るためには、新交通システムの導入と一体となって機能する道路整備を行うなど、総合的な交通体系を確立することが必要であり、また、新交通システムの導入に伴う部分的な道路交通容量の不足に対応するためにも、関連する道路整備等について具体的な調査・検討を進める必要がある。 

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◆事業採算性

一定の条件下において、ランニングコストを賄うとともに、長期的にも概ね資金収支を賄える可能性がある。

 この前提としては、需要面として、テクノポリスセンターなど進行中の関連プロジェクト等の着実な進展,端末交通関連施策による広域的な利用確保など、また 事業面として、インフラ部の公共による整備,インフラ外部に対する一定の資金調達などの諸条件が挙げられるが、今後は、これら各種条件の具体性を高めるとともに、整備主体や整備財源,新たな整備方策の適用可能性等についても検討を深めていく必要がある。

○また今後は、公共交通サービスの拡大,移動時間の短縮等の直接的効果のほか、環境負荷の軽減,交通事故の削減等の間接的効果も含めて、総合的に導入効果の分析・評価を行う必要がある。

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◆経営主体

○資金調達,経営ノウハウ,要員確保等の観点から、経営主体としては 民間能力を活用した第3セクター方式が有力であるが、今後、上下分離(公設民営)方式など 新たな整備・運営手法の適用可能性を含めて検討を深めていく必要がある。

 

6、このテーマで進める場合の今後の卒論作成について

疑問点の調査(既存の交通システムは使用できないのか、選定ルート、LRT選定の理由、第三セクター方式で大丈夫なのか?)

新交通システム導入他都市の調査(東京、千葉etc)

宇都宮の新交通システムの在るべき姿

 

参考URL

「まちづくりを支える新交通システム」宇都宮市役所企画部地域政策室

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/shinkotsu/index.htm

 

「新交通システムの検討状況」栃木県庁企画部交通対策課

http://www.pref.tochigi.jp/koutsu/sonota/04/network4.html